お知らせブログ

令和8年2月25日(水)に対面とオンライン開催にて、令和7年度第2回「避難者生活相談支援事業」被災者生活支援調整会議及び「第113回支援者のつどい」を合同開催しました。話題となった概要を広く皆様にお伝えします。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

共催:山形県社会福祉協議会/復興ボランティア支援センターやまがた

<参加者>順不同

中間支援団体 2団体
災害支援団体 2団体
山形市社会福祉協議会
南陽市社会福祉協議会
長井市社会福祉協議会
鶴岡市社会福祉協議会
酒田市社会福祉協議会
山形県公認心理士・臨床心理士協会
山形県被災者・避難者支援室
山形県地域福祉推進課
東北財務局山形財務事務所
福島県避難者支援課
一般社団法人ふくしま連携復興センター
ふくしま生活・就職応援センター

<プログラム> 

13:00  開会

13:00~15:00

【第1部】第2回「避難者生活相談支援事業」被災者生活支援調整会議

<講義・グループワーク>

講話 「この先を見据えた問題の理解と支援の視点」
~事例検討を通じてアセスメントの勘所をつかむ~

淑徳大学 総合福祉学部・社会福祉学科 教授 菅野 道生氏

15:00~16:00

【第2部】第113回支援者のつどい

<グループでの意見交換・質疑応答> 第1部の内容を踏まえての意見交換

16:00 閉会

 

【第1部】第2回「避難者生活相談支援事業」被災者生活支援調整会議

 <講義>

 演題:「この先を見据えた問題の理解と支援の視点」

         ~ 事例検討を通じてアセスメントの勘所をつかむ ~

講師:淑徳大学 総合福祉学部・社会福祉学科 教授 菅野 道生氏

 

<菅野氏の岩手県での被災者支援について>

・2023年3月までの11年間、岩手県立大学に勤務し、岩手県社会福祉協議会の相談員や、盛岡市内のNPO団体盛岡復興支援センターと一沿岸地域から内陸避難者などの支援活動に携わっていた。

・令和7年度で岩手の復興支援事業は一部を残して終了となるため、近年は支援終結に向けて活動していた。

<山形県の避難者支援について>

・山形県の避難者の多くが原発避難であり母子避難が中心だったため、生活支援相談員の支援と岩手県での被災者支援は異なる。

・震災から15年近くが経過し、避難者の高齢化や子どもの独立による世帯分離や単身化が進み、必ずしも原発避難者だけの問題ではない一般的な課題が生じてきた。

・避難元のコミュニティから切り離され、人によっては地域との関係形成が困難であり、元々の問題があった上に、避難でさらに課題が起き、相談員の実戦的な避難支援の意識(意味合い)が見えにくくなっている。

 

<今後の山形の支援について(第三期復興創成期)>

・山形県の支援終了の基準やタイミングの見通しが未だ見えないのが岩手県との違い。

・支援事業は必ず終わるが、期間が不透明なまま支援が続く状態で、支援の意味合いが不明確になり迷いが生じやすい構造になっている。

・山形県は個別支援を基本行っているので、これまでの支援を振り返り、この先を見据えた問題を踏まえながら世帯を見ていくアセスメントの視点を学んでいきたい。

・避難者登録さえしていれば支援対象世帯になる。(支援の根拠になる)                                                                                                                               

・支援終了の期間までに支援の意味合い、問題の見立てや関りが必要かを検討する必要がある。

 

<岩手県の支援の流れについて>

・令和7年度での国の支援事業終了にあたり、数年前から被災者が安心して生活できるような状態に向けて動いていた。

・岩手県では震災から10年で支援終了の見込みをしており、令和3年から第二期復興創生期間となった段階で次の5年で終結に向けての一般策に切り替えていった。

・平成23年時点の見守り世帯数約19,000世帯から、令和6年度では約1,300世帯に減少。

・相談員数は平成23年12月時点で最大197人の配置だったが、令和7年12月時点では 38名となっている。

・令和7年12月時点で、見守り世帯数625世帯のうち550世帯が高齢者世帯となっており、約9割弱となっている。

・15年経過しても相談員の見守り訪問が必要な世帯が多く残り、高齢者世帯や精神疾患世帯、引きこもり、知的障害など地域に繋がりにくい人達を事業終了まで抱え続ける。

・令和7年3月まで見守り世帯が一定数残ることになるが、期限が来たら終了せざるを得ない。

・令和5年度から『支援の「終結」に向けてたアセスメント基準』を作成し、本人の同意を得て支援を終了することとした。 (アセスメント基準は岩手県社協HPで公開)

・令和5年8月時点での支援終了の割合は社協判断で8.8%と少なかったが、令和6年1月では死亡、入院、転居等の本人の状況変化に伴い79.8%に増加。

・作成当初は、社協判断での支援終了が少なかったが、令和7年10月には社協判断が70%に上り、事業終結の圧力で社協が手放す傾向に変化した。

・相談員としては、なかなか手放せなかった状況が続いたが、残り一年で急激に手放しが加速。一般策への繋ぎは少数で、家族へ繋いだ例が約70%となっている。

・見守り対象者自ら支援終了の申し出は少数。

 

<事前アンケートから見える山形県の支援現場の迷い>

・避難者支援と一般福祉の境界がなくなってきている。(岩手県と共通)

・連絡がつかず、世帯の生活様子の把握困難なケースがある。(訪問希望の世帯でなくとも登録している場合等)

・避難先の地域住民との関係。(15年経過して、果たして避難者なのかという両者の迷い)

 

<聞き取りから見えるニーズ>

・高齢者支援の増加 (岩手県は9割を占める)

・心のケア、孤立への対応

・生活困窮、就労の課題解決

・避難者特有のニーズの減少

・交流会参加者の減少(高齢で行けない、自分は避難者ではなくなったなど)や、交流活動から個別対応への移行

・相談窓口の存在の重要性

・15年が経過し、課題の見え方や構成の変化による支援の迷い

 

<支援対象となる「震災由来」の課題について>

・震災直後は全員が被災者だったが、時間の経過とともに震災が起因する問題が減少し、高齢化や生活困窮の一般的課題が生じてきた。

・元から生活課題を持っていた人は再建の波から取り残されており、支援対象の中では一般的な支援(震災に起因しない)比率が高くなる。

 

<この先を見据えた支援について>

【課題解決型】・・・解決を目的とする。

⇒支援終結に向けてこの支援の形が通用しなくなってきている。

【伴走型】・・・課題解決を目的としない。支援者との関係を作ることが目的。

⇒支援を拒否する人などと繋がりを持ち続けることを支援とする。

・課題解決型は地域において多くはなく、伴走型支援と両輪の輪での支援が重要である。

・相談員は問題解決の最終解決者にはならないという認識を持ち、伴走型支援をしているという意識付けを持つ。

・生活の課題は一般の人も同様で、問題があるのが課題ではなく、「困り方」が問題であり、一緒に悩むのと一人で悩むのは状況が全く異なる。

 

<避難者生活支援相談員事業の特徴>

・分野を問わないアウトリーチ。(一般策にない特徴)

・問題が起きた時点で声を上げやすい体制作り。

・予防的な関り方ができ、問題が軽いうちに解決できる面や予防的支援と事後的対応が上手く機能し、手厚い支援となっている。

・一般策の欠点を被災者支援が補ってきた部分があり、事後的対応の一般策と、予防的支援の被災者支援策が山形県では上手く機能しているのではないか。

・被災者支援は時限的なのでいつかは予防的対応が失われるため、一般策に被災者支援策として行ってきた事例をどう残せるかが重要。

 

<自立支援について>

・今後、避難者は自分達で生活を続けていかなければいけない状況となり、支援のし過ぎで自立する力がなくなるのではないかという関わり方の迷いがある。

・「自立」とは自分の力だけで生活していくことではなく、相談員だけの依存先から様々な依存先を増やす事で、支援から切り離すことではない。

・「自立」の反対は「孤立」であり、孤立しているがゆえに依存先がない。

 

<避難者生活支援相談員のマインド>

・支援者側は自分達が問題解決することを目的としているが、対象世帯の強みに視点を置かないと、支援のプランづくりが見えてこない。

・訪問や関わり続けることは支援として重要だが、今後は繋がり先を見つけていくこと。

・岩手県では相談員活動の最後まで意味を失う事は無かった。

 

  •  グループワーク

<事例検討について 支援における自分の視点の点検>

・自分のアセスメントの特徴や視点の偏り(癖)を見つけることを目的とする。

・事例の中から確認したい事項を挙げ、9マスの区分け(個人・家族・地域/問題、困難・強み、資源・どちらでもない)に分類してみる。

 

~分類から見えてくること~

・問題・困難への視点になりがち。(問題探しになっている)
⇒言い換えれば、この部分のスキルが高い。

・個に対するアセスメント重視になっているため、地域までアセスメントの視点を伸ばすことが重要。
⇒支援のプランが増え、本人の依存先を増やすことに繋がる。

・強みや資源に目が向かない。
⇒強みや資源が自立のためのきっかけとなるので、依存の種がどれだけあるかを見つける。

 

<支援プロセスの循環性(支援サイクル)の考え方>

  • 現状の把握
  • 本人への声掛け、関係者の洗い出し
  • 支援内容の計画
  • 計画の実行
  • 振り返り

⇒順番は関係なく可能なところから取り組んでいくことで、何度でも挑戦できる仕組み作り。