令和7年5月28日(水)に、山形県産業創造支援センター マルチメディアホールにて「第110回支援者のつどい」を開催しました。話題となった概要を広く皆様にお伝えします。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
<参加者>順不同
中間支援団体 1団体
災害支援団体 2団体
情報支援団体 1団体
酒田市社会福祉協議会
南陽市社会福祉協議会
山形市社会福祉協議会
山形県社会福祉協議会
山形市避難者交流支援センター
避難者支援センターおいで
山形県被災者・避難者支援室
福島県避難者支援室
東北財務局山形財務事務所
<プログラム>
13:30 開会
13:40 【第1部】情報提供
テーマ :「避難者支援における身近な法律問題」
講 師 :山形県司法書士会 会長 佐藤 剛 氏
14:50 【第2部】情報共有・意見交換(各団体より)
今年度の活動方針、課題の共有、お知らせ事項 など
16:00 閉会
■第1部
「避難者支援における身近な法律問題」
講 師:山形県司法書士会 会長 佐藤 剛 氏
【司会】
原発賠償の問題、2017年のみなし仮設終了に伴う家賃・敷金の問題、最近では相続や成年後見人制度等、避難者支援活動において、法律問題は非常に密接なものになっている。
第1部では、詳しい専門家である山形県司法書士会佐藤会長より「避難者支援における身近な法律問題」と題して講演をいただき、第2部では各団体より情報共有・意見交換を行う。
<司法書士の業務・相談できる内容について>
・司法書士法によって、業務が定められており、主な業務が6つ程に分かれる。
・司法書士とのコンタクトとしては、「誰に相談すればいいか分からないが、とりあえず誰に相談したらいいのかを聞く相手」と考えるとよい。税理士・弁護士・社労士等、適切なところに導く役割も担っている。
・避難者から相談をうけたら、6つの業務を思い出し司法書士を紹介していただくのも一つの方法である。
・最近ではインターネットで「しほサーチ」と検索すると、近くの司法書士だけでなく全国の司法書士を探せるようになっている。
<情報提供>
(1)相続登記・住所変更登記の義務化
[相続登記]
・令和6年4月1日より不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記申請が義務化になった。なお、これまでに発生した相続も対象になる。(令和9年3月31日まで申請)
・東日本大震災の復興事業を進めるにあたり、所有者が亡くなっていた場合、新たに所有者となる相続人の探索に時間がかからないようにするために、相続登記の申請が義務化となった。
[住所変更登記]
・住所変更登記についても、申請の義務化が令和8年4月1日から施行される。住所等の変更日から2年以内に変更登記の申請を義務付ける。
・以前は住民票の資料は5年間が過ぎると廃棄されており、登記されていないと所有者と連絡が取れないことが多かった。今は長期間の保存になったが、過去のものは捨てられて現存しないということもあり義務化になった。
・法務局に自分が持っている不動産があると申し出をすると、法務局が住所等の変更登記をすることについての確認を行い、自動的に住所変更登記をしてくれる。申し出については既に受付けている。避難者の中には住所変更をしていない方もいるので知らせて欲しい。
・義務化に伴い、登記をしないとペナルティが発生するが、今は利用価値がない山林・雑種地であっても、一時避難のための住宅、高台移転の用地や道路等、災害時にいつ利用するかわからず、復興事業を速やかに進めるためにも国民の務めとして考えてほしい。
(2)相続土地国庫帰属制度
・令和5年4月1日より、土地を相続したが、土地を手放したいと考える人が多くなり相続した土地を国が引き取ってくれる制度ができたが、土地の申請要件が厳しく定められ、管理する経費として面積に応じて10年分の負担金の納付が伴う。
[原発避難者の相続関連で特徴的な点について]
・基本的には変わらないが、住民登録を被災地に残して他県他市に避難している人が多く、相続関連の書類を集めるのに手間がかかる。最近では住んでいる市町村役で他の市町村にある戸籍がとれる広域請求ができるようになったが一部取得できない場合があり、郵送や一時帰宅の時に書類を請求することが多い。
・相続人で遠方に避難したケースが多く、書類のやり取りが電話や郵送になり、家族間で疎遠になった。
・元々疎遠だった相続人からは実際の金額でなく、多額の賠償金を受領したと思われ遺産分割協議が難航するケースがみられた。
・相続については、亡くなった方の配偶者・子供・兄弟が相続人になるケースが多い。現行の民法が昭和23年に施行されたが、それ以後に発生した相続は新民法の相続になるので、明治生まれの人が昭和35年に亡くなったりすると、その子供たちは40人位になったケースもみられた。それも遺産分割協議の難航に繋がる原因となる。
[原発避難者の相続関連の問題点について]
・原発事故後に亡くなった人については、2022年より開始した中間支援第5次追加賠償について、相続人が東京電力に書類一式を提出し請求できるが、原本の書類提出で期限が3ヵ月以内ということで、遺産分割協議書や相続登記等の書類が間に合わないことが多く、再度書類を取得する必要が出てくる。
・書類については原本還付を請求すれば返却してもらえるが、賠償金の受領や原本還付まで時間がかかり、銀行の解約など他の相続手続きをすることができない。
・避難先に生活の拠点を移した人についても、被災した土地の相続は必要ないと思っても、相続手続義務化によって相続手続をしないわけにはいかず、土地国庫帰属制度による多額の負担金も払えず、戻る予定のない不動産を所有し続けなければならないと考える人もいる。
【Q&A】
①相続の手続きについて
・現状で全く課税されていないエリアで登記名義人が亡くなっている場合、自分でどこを所有しているか把握していないこともあるかもしれないが、登記申請の義務化に関しては、しなくてもいいということにはなっていない。住所変更登記に関しても同様に何らかの施策が必要で、場合によって日本司法書士連合会と日本司法書士会政治連盟の二つの団体が国にお願いすることも考えられるが、現状ではそういう施策は検討されていない。避難先での生活があり、避難元には戻れないが相続登記は義務化されるという状態で、避難されている皆さんに過度な負担をしているのではと危惧している。今後は、避難されている人の話を聞きながら検討していきたいと思っている。
・住民票を移動していないことについては、現況の生活に支障がなく、市町村がバックアップをしていただけるのであれば、デメリットにはならないと考えられる。
・相続の費用については、相続登記申請に関して登録免許税の非課税の範囲があり、一筆100万円以下であれば登録免許税が課税されないが、司法書士に依頼するのであれば書類作成や申請について一定の費用がかかる。
・どういう形で相続するのがいいかという点については、ケースバイケースであり避難者と相談しながら決めることだが、一般的には下の世代の人がいる場合には、配偶者ではなく下の世代の方が手続きすれば一度で済むということもある。
②判断能力の衰えた高齢者について
・何らかの法的なサポートが必要になった場合、成年後見制度の利用を検討した方がよい。特に離れて住んでいるような人は、後見人が金銭の管理をしてくれるので、報酬を払うことになるが、責任や心配がなく負担が軽減される。資産が600万円以上の方は職業的な後見人が選定されるが、後見人の報酬は基本的には定額で月に2~3万位が多いようだ。
最近は特殊詐欺も多くなり、もっと積極的に青年後見制度(後見・保佐・補助)を利用するのも一つの方法である。
③自己破産について
・自己破産後は、現金に換えられる物は管財人が決めるので、引っ越さなければならないこともあるが、どのような支障がでるかはその時のその人の生活の仕方による。
・借入に保証人がいた場合、その人も含めて相談することになる。
・事故情報として信用情報機関に登録されるのでローンを組むことはできなくなる。
・デメリットとして、一定期間、資格関係の職業につけなくなる。
④その他
・避難元において、長期不在のために空巣被害があるということの解決方法は、日頃からメンテナンスをして人が住んでいると思わせるしかないのではと思う。
[相談会の案内]
・山形県司法書士会では、毎月第3木曜日の午後6時から8時まで司法書士無料電話相談会を開催している。電話での相談は簡単でしやすいので利用して下さい。
・10月19日(日)に専門家9士業によるなんでも相談会を山形・鶴岡・酒田の三会場で開催。対面相談で完全予約制となる。
・福島の相双司法書士総合相談センターふたば相談所の案内
今日はご清聴ありがとうございました。避難者の生活を支える一助になればと思います。









