お知らせブログ

平成29年1月27日(水)、山形市男女共同参画センターを会場に、第63回 「支援者のつどい」を開催しました。話題となった概要を広く皆様にお伝えします。
ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。

<参加者>
移動上映団体 1団体
カウンセリング 2団体
中間支援 1団体
情報支援 1団体
コミュニティ支援 3団体
保養支援 1団体
山形県 復興・避難者支援室
山形市社会福祉協議会
南陽市社会福祉協議会
寒河江市社会福祉協議会
山形市 総務部 防災対策課
山形市避難者交流支援センター

参加者数:19名(15団体) 報道1名(1団体)  スタッフ:3名  計23名

■第1部 情報提供 「“いじめ”についての勉強会~原因と覚えておきたい対処法~」
 提供者:NPO法人ストップいじめ!ナビ 
・福島県に住んでいた当時、いじめにあい不登校になり、フリースクールに通い育った。
・大津市はいじめ対策に予算2億円をかけ、学校内のコミュニケーションをよくし、困った時のサポートに力をいれている。
・「ストップいじめナビ」のメンバーには、若手の評論家や、自殺対策の専門家、チャイルドラインの代表・いじめ経験者・弁護士もいる。東京の中学校でいじめ予防の授業や研修や、情報を発信している。「ストップいじめナビ」のサイトでは中学生でも見やすいように配慮している。
・友達や親、先生に相談できない子はチャイルドラインに電話をすればよい。法務省でも「子ども人権110番」を受付けている。詳細なリンクをHPに掲載している。
・「命の生徒手帳プロジェクト」で生徒手帳に繋がり先を掲載している。九州では、5校で採用、東京都でも春から採用。つながる手段を増やしていきたい。
・保護者や学校は、「いじめを相談しなさい」と訴えることが大事。いじめをみつけたら相談する。
□いまをしる
・テレビや新聞などで報道されているいじめ増減の件数は、認知件数であり、実態件数はわからない。
・85年にいじめの統計がスタートしたのは、盛岡でいじめによる自殺があった為。スタート時は関心が高かったが、関心の薄れと共に件数も下がっていった。
・大きな報道があると、その後は実態を改めて調査するがまた件数は下がった。報道での数字は実態ではなく先生が報告した数字で、先生の意欲や気持ちの表れである。
・「国立教育政策研究所」は全国でいじめの統計をとっている。
・2004年から2015年までの統計をみると、いじめの被害は6年生まで30%が嫌がらせを受けている。現在いじめがあるのは8~9%で、女子のグループでは陰口・仲間はずれが多い。
・いじめは常にあるので、常に対処するのが大事である。
・「チャイルドライン」には年間20万件の相談があり、いじめの相談件数は多い。
・実際のいじめ件数に急な増減はない。報道があると盛り上がるが、いじめ自殺は続いている。
・滋賀県の大津市で自殺があった2013年「いじめ防止対策推進法」ができた。

□「いじめ防止法」のいじめの定義
・児童などはいじめを行ってはならない。
・いじめとは児童などに対して、一定の人間関係にある、他の児童などが行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
・現場は大変になるが、法律に従って対処しなくてはならなくなった。今までのいじめが対処されていなかった為、今後はしっかりと取り組んでほしいという、メッセージが込められている。

□いじめの「4層構造」
・いじめには4層構造があり、最初の2層はいじめの被害者と加害者が、そしていじめをはやしたてる人と何もしない傍観者の2層に分かれている。
・いじめに同調してしまう観衆は、更にいじめを加速させる。外側の傍観者が一番多く、ただみているだけで嫌な気持ちになり、見ないようにして距離感を保っているが、その中で、1人で立ち向かえば自分が被害者になる。しかし、何も言わないとよりいじめを強化してしまう。結局見ているなら加担してしまうことになる。傍観者がどうするのか、周りの大人がどうするのかが重要になってくる。
・外側から見ている人が3~4人先生に相談するのも良い。
・ラインでいじめられている人を助ける環境作りや、いじめの空気を変える人になる。
・いじめを見た、聞いた時に日記を書くと、しっかりした証拠になる、などを子ども達に伝える。

□いじめは環境によって育てられる。
・いじめがエスカレートするのには理由があり、ストレスがある事がいじめになる。
・学校・家庭・友人・震災ストレスがある。いじめる側にストレスがあり、よくない空間ができ、そこからいじめが始まる。
・アメリカには「いじめ撲滅法」がある。イギリスもいじめに積極的に取り組んでいる。外国はたたくなどの暴力系が多いが、日本は無視・陰口が多く「コミュニケーション」を操作したいじめが多い。
・男子より女子が多く、空気をいじり心理的に追いつめる。
・ストレスが加速する場合、黙認や放置で拡大する。
・「ラベリング」は○○菌と同じでレッテルを貼り、ターゲットを作ってしまう。
・「マウンティング」は新学期に多く関係性がわからないので、反応をみて上下関係を確認し、支配的な攻撃をする。
・「スクールカースト」はすでに人気の高い子は「カースト」の最上位になるが、上下が固定化するので下の層がいじめられてしまう。この言葉を把握していくのも大事である。

□クラス環境は、いじめの頻度に関係している調査結果がある。
・体罰が多い・指導が厳しい・連帯責任なども、いじめが増える原因になっている。
・先生が話をよく聞けばいじめは少なくなるので、先生の対応も大きく関係してくる。

□不機嫌な教室をご機嫌な教室にできればよい。
・みんなで考えて改善箇所を出してみる。

□子どもと寄りそうにはどうしたらいいのか。
・コップの水(=辛い気持ち)が自分の気持ちの許容量。水は一滴ずつ、苦しい・不安などで増えていく。少なく保っている人はアクティブに行動できる。いじめも同じで、いきなりの辛い気持ちは一気に注がれるのではなく、一滴一滴が積み重ねられ、最後の一滴は何気ない言動でも溢れてしまう。自殺してしまう子もいて、遺族は何であれだけの事で死んでしまうのか理解できないが、表面がいっぱいなら最後の一滴で溢れてしまう。

□結論
・自尊感情ができていると自己肯定感が広がる。子どもたちの自己肯定感を高めていかなくてはならないが、自己否定感にも向き合わなくてはならない。
・いじめにあったのは、自分が悪いと思い込んでしまうので、話しをよく聞いて探る。
・身近な人に言えない子どもが多いので、相談先を紹介する。第3者の存在が重要になってくる。ネット・電話・趣味などの話を共有し元気になった人もいた。誰とも話せない人はペットに話せば癒される。自分が楽になるならば何でもありだと伝えてあげる。
・ストレスを解消できるなら、何もしないことも認める。なにより生きていく事が大切なので、「そこにいてよかったね」と声をかけてあげる。
・自分は、いじめにあっている時は苦しかったし、何で自分がいじめられているかわからなかったが、親に話をした。
・親はいじめを知った時、やり返せと怒りだし、お前も悪いのではないか。がんばれ強くなれとよく言われた。
・身の安全を確保するために、学校に行かないという選択肢を持つ親もいる。大人はただ「逃げなさい」と言うだけで、逃げ場は確保できていない。逃げるならしっかりと場所を確保してから伝えないと、逆に追い込んでしまう。
・心のサインだけではなく言葉でも探り、子どもの気持ちをよく聞いて尊重してあげることが大事。
・昔は「いじめにあう子」・「いじめている子」が分かれていたが今はちがう。9年間で9割がいじめ被害・加害に関わっている。今のいじめの特徴はターゲットが代わるため、処罰をすると、9割が加害者になってしまう。
・「いじめにあう子」・「いじめている子」の思いは、共通している部分がある。
・もともと震災の差別があるので、震災のいじめは分けて考えなくてはならない。

質疑応答
Q「チャイルドライン」・「いじめ人権110番」は子どもたちに浸透しているのか。
A「チャイルドライン」は名刺サイズのカードで、子ども達に配布している。文部科学省でもカードで配布しポスターでも告知している。カードを持っているのが友達にわかってしまうと、またいじめにあってしまうので、配慮が必要だ。
Q「チャイルドライン」は親も利用できるか。
A「チャイルドライン」は18歳まで相談できる。文部科学省・法務省の窓口は親も利用ができる。文部科学省のダイヤルは、地域の身近な機関につながる。

■第2部 活動報告、現状や課題の共有
<活動報告>
・「東北労金助成金」の贈呈式に参加した。
・「山形市営住宅募集」に被災者支援法の適用をし、12月の末に募集をしたが2件申込があり、1件が抽選で入居した。
・1月にお茶会で写経をした。3・11に、7回忌で福島県の伊達市に奉納する。今年度最後のイベントは「フラワーリース作り」。
・伊達市で5校閉校になり梁川小学校に統合される事になった。子ども達が好きな場所や通学路で映画を撮影し、作品を作った。
・子ども心の防災標語「大切なのは思いやり。みんなが心の防災士」のプログラムを作成している。災害があると転校してストレスがたまる。子ども達がお互いに助け合う事で、いじめが少なくなる。
・りんごやトイレットペーパー持参で訪問している。
・母子避難者の、駐車場の除雪の手伝いをしている。
・29日(日) 地元農家の協力で、「有機秘伝味噌作り」を開催する。雪のため、今回の参加は少ない。
・石巻の仮設住宅で震災学習を開催し、40人ほどが参加した。子ども同士でも温かく迎える事が大切である。

<現状・課題>
・避難者交流支援センターでは、家賃補助の書き方の問い合わせが多くなった。
・春に5、6世帯が退去する予定。
・収入要件の確認で該当しなかった人が、他に補助はないか問い合わせがきている。ライフプランの深い部分までの相談も出てきている。
・避難者状況は2,915名で先月より37名減。
・「山形県職員公舎」は米沢市と山形市で13件の申込がある。学校やペットの問題もあり、すぐに入居できる世帯ばかりではない。
・自主避難の住宅支援が終わるが、山形県に残る人は多いようだ。
・2011年からいじめと児童虐待の相談を受けてきた。児童虐待は介入しやすいが、いじめは学校に報告するが介入できない。
・薬物依存症回復施設ではほとんどの人がいじめ・引きこもりや人格障害がある。大人同士のいじめも起きていて、暴力をふるう男性の心の傷のマネージメントも大切である。
・最近になって今後を決める人が増えた。
・子どもの進学・就職などで山形に残る人は多い。
・月2回メンタルケアをしている。山形県民は、好意をもって言葉をかけているが福島県民は答えたくない人が多く、最近ではそっとしておいてほしい人が増えた。横浜・新潟のいじめ問題が出てから、更に話を聞くようになった。
・お金に関わる話は福島県内でも起きている。
・福島県民・山形県民などあまり地域を気にせずに見守っていれば良い。
・避難してきた子ども達をどうやったら暖かく迎えるのか、今後の問題である。
・子どもたちの多感な時期に避難したので、帰還後の支援は大切である。
・経済的に継続できないので、物件を探している世帯がある。
・半分くらいの人は今後決まっている。
・「森の休日」募金のみで5年間続いたが今後も続けていく。今年は夏休みまでに5回イベントを開催できるが、秋までの開催はまだ目途がたっていない。スタッフは充実し大学生が増えた。
・「森の休日」の参加者は福島に住んでいる人が中心だったが、今年は山形県に避難してきた人が増えた。参加希望が多く、断る時もある。
・早めに来年度の手続きをするように勧めている。
・施設は今後2年間は運営していきたいが、見通しがまだついていない。委託をうけている伊達市の支援は今年度で打ち切りになる。
・帰還後の居場所がなく悩んでいる人が多い。
・避難した人・していない人のギャップがあり、気持ちを理解してもらえず、山形県内でのイベントを確認している帰還者もいる。今後も、交流会や不定期の予算がほしい。
・郡山市では不祥事を起こしたNPOがいた為に、相談窓口を予算執行後に打ち切りにした。
・県外に避難した人数と同じくらいの人数が、福島県内に避難している。自主避難者が福島県内で継続居住する人には、無償で提供しているため、伊達市では住宅の空きがなくて困っている。伊達市は人口が減っているが世帯は増えている。
・大熊・双葉町への国からの交付金は40年で、震災前にまもなく切れそうな時期だったが、福島第3原発の誘致活動があった。

<告知>
・2月21日に「申請書の書き方」や「子どもの受験」など今年度最後の相談会がある。
・3月11日にキャンドルナイト、セレモニーをする。日赤によるふるまい、展示もある。
・南相馬市の「生涯学習センター」でポケモンの上映会をする。会津若松市の県立博物館でも上映会の予定。3月は山形市の滝山公民館で、大谷さんと一緒に上映会とカフェを開催する。